高齢化が急速に進んでいく現代の日本社会では、介護、医療問題に対する国民の関心はますます高まってきています。
このような社会背景の中で、昨年末、妻である南田洋子さんが認知症であることをテレビのドキュメンタリー番組で告白され、洋子さんを介護する長門裕之さんの様子が大きな反響を呼びました。
番組放映以降、現在介護に携わっている方々を勇気づけていきたいという思い、そして一人でも多くの人が前向きに生きていけるきっかけになればと、長門さんは全国の講演会でお話をされていらっしゃいます。
この日の講演会も、開場の1時間前から長蛇の列ができ、長門さん、洋子さんご夫婦へたくさんの方々が関心をよせていることを改めて感じました。
現在、認知症である奥様の南田洋子さんを在宅で介護されている長門さん。
この日も、「講演会の報告を帰って洋子にすることが楽しみなんです」とおっしゃっていました。
講演では、洋子さんとの出会いから現在に至るまでの夫婦としての歩みをお話され、現在、長門さんがどのような思いで洋子さんの介護にあたっているのかを赤裸々に語られました。
認知症の症状がみられる洋子さんについて、「昨日の洋子はもういないんです。日々の洋子の変化についていくことに本当に悩み続けました。」と苦悩の時期があったことを告白されました。
ただ現在では、毎朝の「おはよう!」という洋子さんの笑顔が長門さんの心を元気づけてくれているということです。
介護という二人だけの世界を通じて、お互いの存在のかけがえのなさを改めて実感されているということで、「今が人生で一番夫婦として素敵な瞬間ですね」と、力強くおっしゃっていました。
介護をする側とされる側で価値観を共有し、お互いの尊厳を傷つけないことの大切さ、そして長門さん・洋子さん夫婦が深い絆で結ばれていることを実感しました。
長門さんは現在75歳ですが、本当にイキイキとされていて生きるエネルギーに溢れており、今まさに人生を楽しんでいらっしゃる様子がヒシヒシと伝わってきました。
そして実は今春にもご夫婦の様子が続編としてテレビで放映される予定とのことで、いつまでもお二人の温かい絆を見守っていきたいと思います。