結果とスタートがイコールであることはそんなに多くない。
生まれつき才能があったから、オリンピック選手として活躍できたという人は
少ないものです。
講演の冒頭に有森さんはこうお話されました。
実は有森さんも、生まれてすぐに股関節脱臼を患っていたり、
学生時代には極端なO脚であったりと、マラソン選手として
期待されるような体型ではなかったそうです。
更に、幼少期は競争に全く興味がなく、そして特技もなく、
自分自身にコンプレックスを抱えた子供時代を過ごされていました。
そんな有森さんがバルセロナオリンピックやアトランタオリンピックで、
記憶に強く残る見事な走りができたのはなぜだったのか。
高校、大学、実業団時代、良い結果に恵まれない状況の中、
なぜチャレンジを続けられたのか。
それは恩師からの言葉、周囲の応援、人との素晴らしい出会いが
あったからとお話しされます。
「頑張っていれば何でもできるようになる。人間は頑張れることが大切。
でも1回頑張ることは誰でもできる。
結果を出すには頑張り続けなくてはならない。
それなら1つでいいから頑張るものを見つけよう」
有森さんは、マラソンを続ける中で学んだこれらのことを、
一心に取り組んできたそうです。
「自分には人より秀でたものは何もない」という思いを原点に、
必死に頑張れる何かをつかもうと前進されてきた姿に、
「一生懸命はかならず勝つ」という有森さんの強い意志を感じました。
頑張れる何かがあるという喜びを、力や強さに変えて活躍される
有森さんのお話は、聴いている私たちを元気にしてくれる講演です。