日本、シンガポールを拠点に世界中で次世代を担う
リーダーの育成を行ってきた嶋津さん。
ワークライフバランス実現の重要な要素として
「リーダーとメンバー(部下)の関係性」を挙げます。
例えば、どの職場においてもチームで仕事を行う際は、業務の振り分けを行います。
まずリーダーがメンバーに対して指示を出すというのが自然な流れですが、
その際リーダーの見ているビジョンはメンバーには見えていないことが多く、
これがメンバーの仕事の「忙しい」という感情を作り出す一つの要因となります。
仕事の目的に対して「なぜ」「どうして」を明確にする
「伝わる」コミュニケーションをリーダーから率先することが
ワークライフバランス実現に向けた大きな一歩になると嶋津さんはおっしゃいます。
各個人単位で「忙しい」からの脱出を実現させるにはどうしたら良いのか。
それは「やらなければならない仕事はどれで、
それにはどれくらい時間は必要なのか」を把握することです。
忙しいと言う人の多くは時間だけに追われ、目の前の仕事だけをこなし、
本当に忙しいのかどうかも分からなくなっている人がほとんどです。
どんなに時間がなくても、その限られた時間を割いて、
自身の仕事の仕分け・見直しを行うことが大切です。
そして仕分けの際、自分自身に投げかける魔法の質問があります。
「それをしないと何が困る?」「どの成果を出す為に必要な仕事?」
これさえ明確にするだけで、より効率の良い業務改善を行うことが
できるようになります。
「上司と部下」という切り口でのワークライフバランスのお話は、
さすがは多くのリーダー育成をされてきた嶋津さんならではの切り口だなと感じます。
もう一つ例をご紹介します。
例えばチーム内に「報・連・相」の時間は、
毎日決まった時間に設けるという新しいルールを作ります。
これにより部下はそれ以外の時間はその他の仕事に集中でき、
上司もプレイヤーとして活躍できる時間を作ることができます。
さらに部下からすると自分が言いたいことを必ず伝えられる場が提供されることで、
社内の風通しが良くなるという付加価値も生みだすことができます。
とてもシンプルな業務改善ではありますが、確実に
ワークライフバランス実現に向けたスパイスとなるのです。
嶋津さんのおっしゃる業務改善のお話は決して実践するのが難しいお話ではありません。
会社をあげて、費用をかけて、そんなことではなく上司と部下、
どこにでもあるそんな光景からワークライフバランス実現に向けた取り組みは
始めることができるのだと改めて実感できる講演でした。