先日、経営者の方々で組織される会が主催する、
井下田久幸氏を講師に招いた講演会に同行してきました。
「はじめまして」のご挨拶と共に名刺交換をさせて頂くと、
そこにはなんと、点字が打ってありました。
私自身、そのような名刺は初めて手にしたので、
関心の赴くままに井下田氏に尋ねると、
次のような答えが返ってきました。
「この名刺は障害者の人に作ってもらいました。
私は、社会的弱者にお金が回る仕組みを作りたいのです。
そのためにITの力を使ってインフラを整えることに力を注いでいます」
申し遅れましたが、本講演会のテーマは
「2020年に向けて。今から準備すべき、ITと経営と社会貢献」
というものでした。
IBMにて16年間、その後も30年以上に渡りIT業界の
第1線でご活躍されてきた、氏のお話は、IoT、ビッグデータ、
O2Oなどを活用した先端技術の現状と今後の役割について、
画像、動画、図と共に、多くの事例を挙げながら
進められ、かなり具体的に、詳しく知ることができます。
講演も終盤に差し掛かった頃、井下田氏は自身の
経歴と現在の仕事について話されました。
東証一部上場会社の役員としてIT系の研究所の
所長を務めていた時のこと。
「経済的にも不自由のない今の仕事を続けて、
残りの人生を自分だけのために消費してもよいのだろうか」
との思いに駆られます。自分に残された時間を算出した上で、
もし自身の働きかけによって、一人当たり1時間でも、
その時間がその人にとって大切な時間になったとするならば、
それが何人も集まれば、自分に残された時間よりも
はるかに上回る、ということに気付いたことが、
現在の、社会的弱者にお金が回る仕組みを作る、
という仕事につながった、と言います。
"IT"を、どのように、仕事に、社会に、活かしていくか、
果ては自分自身がどのように生きていくか。
"IT"という話題から、"志"を持って働くことの大切さ、
をも感じることのできた、感動の講演会でした。
井下田さん講師情報
若井慎一